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Channel: 最新の治療法など、地元の医療情報を提供する「メディカルはこだて」の編集長雑記。
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函館・恵山・南茅部 市立3病院累積赤字 15億円緊急繰り入れ

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北海道新聞1月14日付の記事は下記の通り。



函館市は1月13日、2016年度末で約32億円に上る見通しの函館、恵山、南茅部の3病院の累積赤字を半分程度に減らすため、緊急的に16年度一般会計から約15億円を病院事業会計に繰り入れる方針を決めた。緊急的な繰り入れは11年度の29億円以来、5年ぶり。病院事業会計の累積赤字が膨らみすぎると、病院の医療機器購入などで借金がしづらくなるためだ。
2月開会の定例市議会に関連の補正予算案を提出する。函館病院(668床)分として6億6千万円、恵山病院(60床)分で3億6千万円、南茅部病院(59床)分で4億7千万円を一般会計から繰り入れる。
市が同日発表した「病院事業改革プラン」素案に盛り込んだ。3病院の累積赤字は15年度末で19億9千万円で、わずか1年で1.6倍の32億円に膨らむ見通しとなったため、繰り入れを決めた。
市は11年度にも一般会計からの29億円の繰り入れで3病院の赤字額を大幅に圧縮した。しかし、その後も入院患者は伸びず、経営環境は好転していない。
市は、周辺に医療機関の少ない恵山、南茅部両病院の赤字については、来年度以降も一般会計から繰り入れを続けて、赤字解消を目指す方針。函館病院は繰り入れは行わず、自助努力による経営の健全化を図る。


町立松前病院立て直し急ぐ。常勤医再確保へ道などと協議

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北海道新聞1月29日付の記事は下記の通り。



前院長ら常勤医の相次ぐ辞職で診療体制を縮小した町立松前病院と町が、昨年12月の八木田一雄副院長の院長就任を機に、運営体制立て直しを急いでいる。患者の利便性が低下し、病院職員の負担が増える中、中止していた応援医師の受け入れを今月から順次再開。町と病院は、常勤医を早期に再確保したい考えで、道や医療関係機関と協議を重ねている。
「院長の長期不在をようやく解消できる。医師確保を急ぎたい」。石山英雄町長は昨年12月6日に病院を訪問。診療に専念したいなどの理由で院長就任を固辞していた八木田氏が、一転し就任を了承する意向を伝えたことを受け、表情を引き締めた。
松前病院では、地方独立行政法人化(独法化)をめぐり町と意見対立した木村真司前院長が、昨年7月末で退職。別の常勤医1人も木村氏に呼応して辞職を決め、常勤医は4人になった。前院長の退職を受け、市立函館病院と函館協会病院も応援医師派遣を停止したため、松前病院は昨年10月から診療体制を縮小したが、常勤医の負担は増えている。
午前の診療を急患のみとしたものの、救急車の24時間受け入れは継続しているため、常勤医が夜勤に入る頻度は増加。小本清治事務局長は「常勤医4人の体制が続けば、現場が疲弊する」と懸念する。
同病院では診療時間の午前中に混雑する光景が日常的になった。町内の70代男性は「朝7時半ごろから並び始める人が多く、診療開始後の午前9時には待合室がいっぱい。以前の倍以上の3時間以上待つこともある」ともらす。待ち時間を嫌い、通院を控える町民もいるという。
事態を打開するため、町と病院は道や関係機関に常勤医確保に向けた要請を重ねていた。ただ、病院の特徴である全科診療を担える総合診療医が採用の条件となる上、「ただでさえ医師不足の現状で、院長不在の病院に常勤医に派遣を容認する医療機関を探すのは難しい」(医療関係者)という。こうした厳しい状況を踏まえ、八木田氏は院長就任の判断に傾いたとみられる。
八木田氏は院長就任を受け、市立函館病院は1月から、中止していた応援派遣を順次再開。循環器内科医1人が月1回、小児科医1人も2月から週1回診療する。乳腺外科医の派遣要請も検討している。国立病院機構函館病院も3月から消化器医の派遣を決めた。
課題は、診療体制縮小以前の常勤医6人体制の再構築だ。新院長人事発令直後の昨年12月16日、石山町長と小本事務局長は、道庁を訪れ山谷吉宏副知事や保健福祉部幹部などと面会。常勤医採用の協力を求めた。道内の各医療機関との協議も重ね、医師採用専用ウエブサイトを通じた総合診療医募集も続けている。石山町長は「早期に医師を確保し、地域医療を守りたい」と強調。小本事務局長は「診療体制を立て直せば、診療サービスの向上だけでなく、中断している研修生や研修医の受け入れにつながる」と話し、まず今春にも常勤医1人を雇用し、午前中の院内混雑解消を図りたい考えだ。
一方、前院長が早期導入を求めていた独法化は、運営見直しで関係機関との協議が続く現状では困難な情勢だ。石山町長は独法化の検討中断を表明しているが、昨年12月の定例町議会の一般質問では、議員から「独法化はご破算と受け止めている」との声も上がった。だが、石山町長は昨年の町長選で独法化検討を公約に掲げており、懸案の改築問題を含めた病院運営について、昨年2月以降開かれていない町議会の調査特別委が今後の焦点となりそうだ。
一方、一部町民は、独法化検討を遅らせたとして、病院人事をめぐり前院長が対立した2013年当時の町議会議長(現町議)の解職請求(リコール)を求める運動を昨年8月から始めたが、請求は先送りしている。運動を進める住民有志団体の川内谷直志代表は「医師の疲弊が進んでいる状況は変わらず、リコールに出る時期を考えている」としているが、請求時期は不透明だ。



函館市立3病院、遠い再建。函館、恵山、南茅部 累積赤字32億円。医師確保も不透明。

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北海道新聞2月3日付の記事は下記の通り。




函館市は、赤字経営が続く市立3病院(函館、恵山、南茅部)の経営を立て直すため、事業改革プランの素案をまとめた。約32億円に膨らむ累積赤字について、2016年度一般会計から約15億円を病院事業会計に繰り入れて圧縮するほか、入院件数の増加などを図り、単年度収支は20年度に黒字化する計画だ。ただ、累積赤字を解消するめどは立たず、入院件数増加の鍵を握る医師の確保も不透明で、再建の道のりは険しいままだ。
「黒字になると言っていたのに大赤字になった。『ばら色の計画』に終わっている気がしてならない」
素案が説明された1月17日の市議会民生委員会で、市議から早速、実現性を疑問視する声が上がった。3病院の中核をなす函館病院で16年度に約500万円の黒字になるとの計画を立てながら、12億円近い赤字が見込まれる事態に陥り、11年度に一般会計から約29億円を投入したのに続き、またも一般会計から繰り入れるからだ。
素案では、赤字の原因について医師の退職者を補充できずに15年度から精神病棟を休止したほか、改築工事による騒音で入院制限をしたことをきっかけに入院患者数が減少したため、などと分析。直近の16年度上半期の統計では、目標の1日あたりの入院患者数471人に対し、実績は408人にとどまった。
市は、診療のもたらす収入に対する累積赤字の割合が、法令上、経営を国に管理される20%を超える事態を懸念。素案では、一般会計から病院事業会計に約15億円を繰り入れ、今後も最大16%台に抑えることを明記した。また「経営効率化を図るための取り組み」として入院件数や患者の増加、診療報酬の増加につながる国の評価ランクの引き上げなどを掲げた。
しかし、単年度収支は17年度も約12億円の赤字を見込み、累積赤字は徐々に減るものの20年度でも約30億円が残る。経営効率化を図る取り組みも、従来、手を付けていたものがほとんど。入院件数や患者の増加には医師の確保が必要になるが「大学の医局に頼みこんで、医師を派遣してもらうしかないのが実情」(函館市の担当者)と明かす。
例えば精神病棟は、素案で現在の1人から3人に増員し、18年度の再開を目指すと明記しているが、実際に医師が派遣されるかについて、市は「はっきり言えない」と言う。麻酔科、産婦人科など6診療科も、退職や異動した医師各1人の補充が喫緊の課題だ。
工藤寿樹市長は1月20日の記者会見で、一般会計から繰り入れる15億円の財源に関し「(行財政改革で)せっかく積んできた財政調整基金と減債基金(計約56億円)を充てざるを得ない」と説明した上で、将来、独立行政法人化や民営化などを検討する可能性に言及。市幹部からは「今後、3回目の一般会計からの繰り入れも考えなければならないかもしれない」との声も上がる。

<経営効率化に向けた主な取り組みと、見込まれる収入増額や経費節減額>
入院件数・患者数の増加・・・・約6億円増
精神科医を1人から3人に増やし、18度からの病棟再開・・・約1億6千万円増
紹介されてくる患者率増などによる国の地域医療支援病院の指定・・・約1億1千万円増
手術件数の増加などによる国の評価ランクのアップ・・・約1億円増
専門業者に委託する省エネ(エスコ事業)の導入・・・約3千万円の経費減


市立函館病院、赤字4億円

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北海道新聞2月10日付の記事は下記の通り。



函館市は2月9日、市立函館病院の2016年度の単年度期末収支が約4億円の赤字になるとの見通しを明らかにした。市は市立3病院の累積赤字の削減へ、16年度中に一般会計から病院事業会計に計15億円を緊急に繰り入れる方針だが、函館病院はそれでも黒字転換は困難な状況。残る2病院は繰り入れを受けて黒字となる見通しだ。
市病院局によると、16年4~12月の函館病院の収支実績は約12億円の赤字。精神科病棟の医師不足や診療報酬の引き下げが主要因とみられる。17年1~3月も患者数の伸び悩みから、昨年11月時点での予想通り16年度期末で約10億円の赤字に陥ると試算している。
市が予定する緊急繰り入れのうち、函館病院分は約6億6千万円。これにより赤字は約4億円に圧縮されるが、当初見込んだ約500万円の黒字には遠く届かず、14年度以来3期連続の赤字が確実。他の2病院のうち恵山病院は繰り入れにより約3億6千万円、南茅部病院は約4億7千万の黒字が見込まれている。
同日の市議会民生常任委員会では、同局の藤田公美管理部長が函館病院の経営見通しを説明。今年10月までに医師5人を増員できるが、精神科医は当面補充できないとの見通しを示し、「16年度は残り2カ月を切っているが、赤字幅を圧縮できるよう診療収入の確保と経費削減に努めたい」と述べた。



病院会計、緊急繰り入れ。函館市、基金から15億円

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北海道新聞2月17日付の記事は下記の通り。



函館市は2月16日、23日に開会予定の定例市議会に提案する2016年度一般会計補正予算案を発表した。少子化を背景に一人親家庭への児童扶養手当の支給総額が減るなど、2億4100万円を減額する。赤字が続く病院事業会計への一般会計からの緊急繰り入れは、基金から切り崩して対応する。
両親が離婚した児童らが対象になる扶養手当は人口減の影響を受けて想定より利用が少なく、「一人親家庭支援費」を1億4千万円減らす。同様に、中学校卒業までの子どもを持つ世帯向けの児童手当が減り、「子育て支援費」を9200万円減額する。
また、累積赤字を抱える函館病院など市立3病院の危機的状況を回避するため、市の貯金にあたる減債基金から15億9千万を切り崩し、これを原資にして病院事業会計へ繰り入れる。
16年度一般会計は、補正後の歳入と歳出の総額を1413億4千万円とする。
23日開会予定の市議会に、市は16年度各会計補正予算案、17年度各会計予算案など議案61件を提出する。



町立松前病院、常勤医5人体制へ

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北海道新聞2月22日付の記事は下記の通り。



前院長らの辞職などで常勤医4人体制となっていた町立松前病院に新年度、常勤医として自治医科大卒の男性医師1人が着任することが21日分かった。道による医師派遣で、任期は4月1日から一年間。
派遣制度は道内出身の医師が同大卒業後9年間、道職員として各地で医療を行う仕組み。着任するのは卒業後8年目の30代の総合診療医。臨床研修で同病院の勤務経験があるという。これを受け、同病院は研修医らの受け入れを再開する。
一方、同病院の応援医師として、国立病院機構函館病院が4月から、週末の当直などを担当する医師1人を月1、2回派遣。函館協会病院も4月から、中止していた外科医1人の派遣を再開する。


函館市立3病院の累積赤字解消、改革進めても難しく

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北海道新聞3月1日付の記事は下記の通り。



第1回定例函館市議会は2月28日、本会議を再開し、代表質問を行った。工藤寿樹市長は、赤字経営が続く市立3病院(函館、恵山、南茅部)の事業改革プランについて「健全化という点では、十分とは言い難いものと認識している」と述べ、プラン通りに経営効率化を進めてもなお、累積赤字の解消は困難との考えを示した。ただ、さらなる一般会計からの繰り入れについては名言を避けた。
改革プランでは、入院件数の増加や平均在院日数の適正化など9項目の取り組みを掲げ、単年度収支を2020年度に黒字化する。ただ、20年度もなお、累積赤字額は30億円で、資金不足比率は、起債の制限を受ける10%を超えたまま推移する見通しだ。
工藤市長は「病院事業を取り巻く状況には大変厳しいものがあり、ただちに累積赤字を解消することは難しい。まずは単年度資金収支の黒字化を実現させるべく、病院局挙げて全力で取り組んでほしい」と述べた。
病院事業会計は、累積赤字を圧縮するため、16年度一般会計から緊急的に約15億円を繰り入れる。11年度にも一般会計から29億円を繰り入れている。


「メディカルはこだて」の冬号(第61号)が発刊

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「メディカルはこだて」の冬号(第61号)が発刊しました。



現在、函館市内および近郊の書店で販売中です。

【特集】
病気はひとりで悩まないで。患者会活動で明日を生きる

高次脳機能障害
交通事故や脳の病気などで「人が変わってしまった」と悩んでいませんか?
村上峯子(脳外傷友の会コロポックル道南支部代表)

人工透析
講演会開催や市長との対談積極的な活動を実施組織強化の取り組みも加速
河村紳司(函館地方腎友会事務局長)

リウマチ
病気をひとりで悩まずにリウマチを正しく理解し積極的に治療に取り組む
宮澤生雄(日本リウマチ友の会北海道支部道南地区幹事)

がん
がんの種類に関わらない明るい雰囲気の茶話会で元気を分かち合う患者会
斉藤佐知子(函館がん患者家族会「元気会」代表)

脊髄小脳変性症・多系統萎縮症
歩行時のふらつきから「酔っぱらっている」と言われたことも
山岸良童(であい友の会」道南地区連絡会運営委員)

パーキンソン病
小学校で黒板に字を書く際にチョークを落とす回数の多さでパーキンソン病を発見する
小松 悟(全国パーキンソン病友の会北海道支部函館ブロック代表

【トピックス・リポート】新電力への切り替えで年間500万円の削減効果
木村 建(函館渡辺病院事務部長)

【トピックス・リポート】医療と介護の連携を支援するセンターが4月開設
高柳 靖(函館市医療・介護連携支援センター準備室)

【トピックス・リポート】血尿・尿蛋白から透析までの治療を行う腎臓内科
吉原真由美(函館五稜郭病院腎臓内科医長)

【トピックス・リポート】 「透析センター」のリニューアルで、より充実した透析治療を提供
雲母公貴(函館五稜郭病院臨床工学科係長)

【ピックアップニュース】全国各地の医療機関や施設で導入拡大 インターネット利用の「地域医療連携システム」
盛長志朗(エスイーシー医療システム事業部クラウドソリューション部課長

【ピックアップニュース】法人情報システム室の使命は「人とITをつなぐ」こと
滝沢礼子(高橋病院法人情報システム室室長)
佐藤美知子(高橋病院法人情報システム室)

【ピックアップニュース】函館稜北病院は大幅なリニューアル工事が完成
吉田清司(函館稜北病院事務長・薬剤師)

【スペシャルリポート】国立函館で全国的にも少ない「病理診断外来」を担当。褐色細胞腫とパラガングリオーマの病理では日本の第一人者
木村伯子(国立病院機構函館病院病理診断科部長)

【ドクター・クローズアップ】昨年4月、山形県から江口眼科病院の診療部長に就任
松下知弘(江口眼科病院診療部長)

函館渡辺病院は昨年8月から病児保育を開始
算用子和江(函館渡辺病院看護師)
小笠原純(函館渡辺病院ふじ保育園保育係長)

道南初の「お泊まりデイ」実施で宿泊サービスを提供
斎藤 修(デイサービスセンター「のべる手」所長)

聴診器を首から下げる管理栄養士
佐藤亮介(函館五稜郭病院栄養科係長)

「セラピア便り」  扇の要、函館から
平田 聡(特定非営利活動法人理事長)

身近な漢方医学の知識 『肩こり』の漢方治療について(その3)
久保田達也 (久保田内科医院院長)

お薦めの一冊 「まぶたを10秒押すだけで目はよくなる!」
日隠 修 (栄好堂美原店)

痛みとしびれに画期的な治療の「遠絡療法」とは
久米 守(久米整形外科院長)

The 矯正インタビュー Before&After
古田樹己(ふるた矯正歯科院長)

診断・治療に能力を発揮するマイクロスコープ(歯科用顕微鏡)
川瀬 敬(川瀬デンタルクリニック院長)

骨が薄い場合も移植手術なしで治療が可能
村田真介(吉田歯科口腔外科院長)

5分で分かる歯科の話 〜歯周病と糖尿病、負のスパイラル〜
伊藤正明(函館新都市病院理事・歯科科長)

「歯間ブラシとデンタルフロスの使い方」
向山英明(向山歯科桔梗クリニック院長)

歯科先進国では診療台の中を流れる水の消毒は当たり前
鎌田 俊(シュンデンタルクリニック院長)

東洋医学の治療院からー地域包括ケアシステムの中での鍼灸師
益井 基(益井東洋治療院院長)

メアリー・エイケンヘッドにホスピスの原点を求めて
細野容子(元岐阜大学医学部看護学科教授・京都市在住)

道産小麦を使用、弾力ある食感と甘みが特徴
滝口博史(かいせい「パンの店オリーブ」サービス管理責任者)




病気はひとりで悩まないで。患者会活動で明日を生きる

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第61号の特集は「病気はひとりで悩まないで。患者会活動で明日を生きる」。
病気はひとりで悩まずに、病気を正しく理解することが大切だ。同じ病気を抱える患者同士が話をすることで、悩みは半分になる。不安や悩みがあれば、患者会へ電話をすること。同じ不安や悩みを共有することで、そこから笑いも明日を生きる勇気も生まれてくる。高次脳機能障害や人工透析、リウマチ、がん、脊髄小脳変性症・多系統萎縮症、パーキンソン病の6つの患者会を紹介した。

◎高次脳機能障害
交通事故やスポーツ、転落での脳外傷、脳血管障害などの脳の病気などによる脳の損傷が原因で、言語障害や記憶障害、社会的行動障害などが起こる病気を「高次脳機能障害」と呼んでいる。外見からは病気がわからず、社会的支援も受けにくい状況にあった。
このような高次脳機能障害を負った当事者や家族が集まり、交流や情報交換をする患者会が「日本脳外傷友の会」で全国43都道府県に支部がある。脳外傷友の会「コロポックル」は、子供の高次脳機能障害に悩む母親達が平成11年2月に立ち上げた家族会だ。全国ネットの中で高次脳機能障害の実態を訴え、支援体制の確立を目指している。「脳外傷友の会コロポックル道南支部」が設立したのは同14年。翌15年に代表に就任したのが村上峯子さんだ。


脳外傷友の会コロポックル道南支部代表の村上峯子さん。

◎函館地方腎友会
腎臓の働きが10%以下になると、血液の濾過が充分に行えず、水分や老廃物のコントロールができなくなるが、さまざまな原因により腎臓の働きが不十分になった状態が腎不全だ。腎不全の末期症状で、低下した腎機能の代わりの役割を果たすのが「透析療法」である。このような腎臓病患者の医療と生活の向上を目的として、1971年に結成した腎臓病患者の患者会組織が一般社団法人全国腎臓病協議会(略称・全腎協)だ。設立以来、全腎協は全国の腎臓病患者の代弁者として行政・医療団体へ要望を申し入れるなど、医療や福祉に関する問題提起や政策提言を行ってきた。現在、全国の会員数は約9万人で、日本最大の患者会といわれている。
函館地方腎友会(館由紀子会長)は昭和59年に設立された。道南の透析患者数は渡島地区1142人、檜山地区104人の合計1246人。腎友会の会員は約160人で緩やかな減少傾向が続いている。事務局長の河村紳司さん(67歳)は「腎友会の歴史は、腎臓病患者の命を守る医療制度や福祉制度をつくるように、国や地方行政へ働きかける運動から始まった」と話す。


函館地方腎友会事務局長の河村紳司さん。

◎リウマチ
関節の滑膜に炎症が起こり、その結果、痛みと変形を残す病気が難病の一つと言われている「関節リウマチ」だ。長期の療養生活の中で、精神的、経済的、社会的に多くの問題を抱えた患者同士が「リウマチに関する正しい知識を広め、リウマチ対策の確立と推進を図り、リウマチ性疾患を有する者の福祉の向上に努める」という目的を持って発足したのが「日本リウマチ友の会」で、全国都道府県に47支部がある。
リウマチ治療は研究の成果により大きく進展し、薬による治療法が確立、治療の目的が「寛解」を目指せるようになった。友の会は患者が一番に望んでいる「原因解明と治療法の確立」が一日も早くなることを願って活動している。日本リウマチ友の会の北海道支部道南地区の幹事を担当してるのが宮澤生雄さんだ。宮澤さんは約20年前の40代の頃、右肩が上がらない症状に悩まされて整骨院で治療を受けていた。


日本リウマチ友の会北海道支部道南地区幹事の宮澤生雄さん。

◎がん
現在、日本人の2人に1人ががんになり、3人に1人はがんで亡くなるといわれている。職場や学校、医療機関などでの検診による早期発見の取り組み、化学療法や放射線治療などのがん医療の進歩によって、がんと診断された人の生存率も向上している。その一方で、がんを告知されたときや、再発を言われたときには、誰もが大きな精神的ダメージを受ける。
患者が悩みを打ち明け合い、孤独を解消するための「出会いの場」が患者会だ。がん患者の患者会は全国各地に誕生しているが、函館では、すべてのがんを対象に、がん患者同士が不安や悩みを語り合うことで、交流を深めながら精神的な支えを目指した患者会がある。函館がん患者家族会「元気会」で、道南地区では様々ながんの垣根を超えた初めての患者会として積極的な活動を続けている。元気会は代表の斉藤佐知子さんら3人が中心となって2008年7月に設立された。患者会を立ち上げるきっかけとなったのは2005年に乳がん手術を受けた斉藤さんの闘病体験だった。


函館がん患者家族会「元気会」代表の斉藤佐知子さん。

◎脊髄小脳変性症
「であい友の会」は脊髄小脳変性症を対象としている患者会だ。脊髄小脳変性症は多くの病気からなるが、全体の約70%が遺伝性のない弧発性で、約30%が遺伝性と言われている。弧発性は皮膚性小脳萎縮症と多系統萎縮症に大別され、多系統萎縮症はさらにオリーブ橋小脳変性症、線条体黒質変性症、シャイ・ドレーガー症候群の3つの疾患が含まれる。運動失調を主症状とする脊髄小脳変性症は、小脳・脊髄及びその関連領域がいろいろな組み合わせで変性する症候群で、病変部位により発病年齢や症状の特徴はさまざまだが、最初に体の異常に気づくのは本人よりも家族や職場の同僚など、まわりの人々からの指摘による場合が多いようだ。歩行時のふらつきによって「酔っぱらっているようだ」と言われたり、物を持った時に手が震える、言葉が途切れ途切れになり、ろれつが回らないというような症状から病気が発見されることが多い。
「であい友の会」の道南地区連絡会が誕生したのは平成26年。3人で始めた会員数は現在10数人までになった。道南地区連絡会の運営委員を担当するのは山岸良童さん(61歳)。友の会では講演会のほか、難病医療費助成制度などに関する勉強会などを開催したり、会員同士が療養生活や経験談について話をする交流会を開催している。


「であい友の会」道南地区連絡会運営委員の山岸良童さん。

◎パーキンソン病
手のふるえや動作が遅くなったり、筋肉が固くなる、姿勢を保つことが困難になるといった四大症状で知られるパーキンソン病は、その他にも、すり足や小刻み歩行、小声などの運動症状、便秘や頻尿などの生活関連症状、あるいは精神症状などの苦しい状態が一生続く病気だ。
年をとるにしたがって、脳のすべての神経細胞は徐々に減少していくが、パーキンソン病では普通以上に中脳の神経細胞が減少する。中脳にはドパミンという化学物質を作る黒質と呼ばれる部分がある。ドパミンは姿勢を保持したり、運動の速さを調整する役目を果たしているが、パーキンソン病ではこのドパミンが減少することで、脳からの運動指令がうまく伝わらないために、手足のふるえなどの症状がおこる。ドパミンが減少する理由はわかっていないが、現在では、ドパミンの中にαシヌクレインというタンパク質が凝集して蓄積することで、ドパミンが減少すると考えられている。そのためαシヌクレインが増加しないようにすることが、新しい治療薬開発の大きな目標となっている。
昨年4月、全国パーキンソン病友の会北海道支部函館ブロックの新しい代表に就任したのが、小松悟さん(68歳)だ。小松さんが発病したのは15年前の53歳。「小学校の教員でしたが、黒板に字を書く際にチョークを落とす回数が多くなったことが気になるようになりました」。


全国パーキンソン病友の会北海道支部函館ブロック代表の小松悟さん。

函館渡辺病院は昨年8月から病児保育を開始

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第61号では函館渡辺病院看護師の算用子和江さんと函館渡辺病院ふじ保育園保育係長小笠原純さんを取材した。


園児を診察中の伊坂直紀副病院長と看護師の算用子和江さん。


病児保育室で園児と一緒に過ごすふじ保育園保育係長の小笠原純さん。

看護師確保のために、院内保育所を充実させる病院が増えている。函館渡辺病院(三上昭廣理事長)は保護者である職員が安心して就業できる環境を提供するために院内保育所の「ふじ保育園」で、病児保育を開始した。
同保育園は未就学の乳幼児を対象に24時間体制の保育を行ってきたが、4年前に小学生の児童を受け入れる学童保育も開始した。専用車による小学校への送迎や教員免許取得の専任指導員を配置し、保育士との連携により遊びや学習の時間をもうけていることが特徴で、こうした試みは全国でも珍しい。
昨年8月に開始した病児保育は12月末までに56人が利用した。担当する職員は看護師の算用子和江さんと、ふじ保育園保育係長の小笠原純さん。算用子さんは同病院の元副看護部長、小笠原さんは20年以上のキャリアがある保育士だ。



道南初の「お泊まりデイ」実施で宿泊サービスを提供

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第61号ではデイサービスセンター「のべる手」所長の斎藤修さんを取材した。


コンサートではギターを演奏する所長の斎藤修さん。

昨年12月1日にオープンしたデイサービスセンター「のべる手」(函館市中道1丁目)の室内は、ジャスが流れ、コーヒーの香りが漂っている。カフェのようなくつろいだ雰囲気は「自分が年を取ったら利用したい空間を作りたかったから」と所長の斎藤修さんは語る。「のべる手」とは手をさしのべること。この名前には、斎藤さんが利用者からの要望に決して「NO」を言わないという理念と決意が込められている。
「お泊まりデイ」というサービスがある。対象は介護保険法に基づいたデイサービス利用者で、夜間に「介護保険適用外」の宿泊サービスを提供する事業だ。日中のデイサービスの延長という位置づけで、対象は当該施設のデイサービスを利用する人のみ。介護保険で宿泊ができる高齢者施設が慢性的に足りないことから、全国で開設する施設が増えている。道南地区では2月1日から実施した「のべる手」が最初の事業所となった。「お泊まりデイの夜間ケアサービスは夜6時から翌朝9時まで。要介護度によって夜間ケアの利用料は異なりますが、4泊以上は割引利用料を設定しています」。お泊まりデイは家族の介護負担を減らすことができるので、介護をしている家族にとっては非常に有用なサービスとして人気が高い。



聴診器を首から下げる管理栄養士。NST国内最高水準の「近森病院」臨床栄養部科長から転身

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第61号では函館五稜郭病院栄養科係長の佐藤亮介さんを取材した。


函館五稜郭病院栄養科係長の佐藤亮介さん。

昨年12月、近森病院(高知県高知市)の臨床栄養部科長として活躍してきた佐藤亮介さんが、函館五稜郭病院栄養科の係長に就任した。地域医療支援病院や救命救急センター指定、災害拠点病院など、さまざまな許認可を受けた急性期病院の近森病院は、NST(栄養サポートチーム)に関しては国内最高水準と評価されている。栄養サポートチームとは低栄養など栄養管理の必要な患者に病院の様々な職種が連携を持ち、それぞれの知識や技術を出し合って最良の方法で栄養支援をするチームのことだ。
近森病院では管理栄養士が聴診器を使って患者のお腹の音を聞いている。「お腹を聴診するのは腸管の蠕動(ぜんどう)音を聞いているからです」。蠕動運動は主に食道から直腸までの消化管の収縮運動のことで、内容物を移動させる役割をしている。「食物や水分をとる、運動をするなどの刺激を与えることによって活発になりますが、このような蠕動運動は免疫細胞を活性化することも知られています。医師や看護師だけではなく、管理栄養士も常に聴診器でお腹の音を聞くことにより、患者さんのお腹がしっかりと動いているかどうかを確認しています」。


全国各地の医療機関や施設で導入拡大。インターネット利用の「地域医療連携システム」

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第61号では株式会社エスイーシー医療システム事業部クラウドソリューション部課長の盛長志朗さんを取材した。


ID-Linkの特徴を説明する盛長志朗さん。

ソフトウエア設計・開発のエスイーシー(本社・函館市末広町、永井英夫社長)が2007年に構築したIDーLinkは、地域の参加医療施設間をインターネット回線で接続し、それぞれの施設が保有している診療情報の相互参照を可能とし、緊密な医療連携を実現するシステムだ。道南地区では2008年にIDーLinkの技術を使用した道南地域医療連携システム(道南Medika)が発足。現在では函館市内や道南の多くの医療機関や施設などが医療連携ネットワークに参加し、地域の診療情報を共有している。
全国的にもほとんど例のない新しいネットワークシステムのIDーLinkは、全国各地で導入する地域が増えている。2016年12月末現在の利用状況は36都道府県、6166施設に達している。多くの連携システムの中から全国の医療者がIDーLinkに注目したのは「双方向利用のシステムであること、そして地域の医療機関が持っている独自の患者コードを、一元管理用IDで紐付けて『1地域1患者』のデータを各医療機関が共有できることなどが高く評価されていると考えています」。



法人情報システム室の使命は「人とITをつなぐ」こと

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第61号では高橋病院法人情報システム室の滝沢礼子室長と佐藤美知子さんを取材した。


看護師をはじめ、ソーシャルワーカーや理学療法士、診療情報管理士、システムエンジニアなど様々な職種が揃う高橋病院法人情報システム室の滝沢礼子さん(室長、写真右)と佐藤美知子さん(理学療法士、写真左)。

平成26年に開業120年目を迎えた高橋病院(高橋肇理事長)は「地域住民に愛される信頼される病院」を理念に掲げ、「生活を支える医療」「連携文化の育成」をキーワードに、地域全体でリハビリテーションを中心とした医療福祉ネットワークを展開。法人施設内外の継ぎ目のないネットワーク構築や患者サービス向上の手段としてIT活用を積極的に進め、平成20・21年度には2年連続で経済産業省「IT経営実践認定組織」に選出されている。
ITネットワークを活用した医療と介護の統合の必要性にいち早く着目した同病院のITによる情報連携への取り組みは、2007年全国に先駆けてIDーLinkの試験稼動を行ったことが出発点。このシステムはインターネットVPNを利用して患者の診療情報を双方向で共有し、良質な医療を寄与することを目的に開発されたクラウド型サービスだ。開発したのはソフトウエア設計・開発のエスイーシー(本社・函館市末広町)で、現在の利用状況は37都道府県、6千施設以上に達している。
11年には在宅・介護と医療との連携を押し進めるため、スマートフォンやデジタルペンを用いて患者のADL情報を多職種間で共有し、適切なケアやリハビリへとつなげる生活支援型見守りシステム「どこでも My Life」を稼働。さらに、13年にはIDーLinkと「どこでも My Life」双方の機能を合わせもった「Personal Networkぱるな」を開発、医療と介護、生活支援の一体的な提供を目指している。



経営悪化の原因加筆、市立函館病院改革プラン案

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北海道新聞3月9日付の記事は下記の通り。



函館市は8日、赤字体質が続く市立函館病院などの経営を立て直すための事業改革プラン案をまとめた。1月につくった素案に対し、外部有識者でつくる「経営改革評価委員会」から「現状分析が足りない」などの指摘が相次いだことを踏まえ、経営悪化の原因を加筆した。「本来であれば、費用の縮減や、人や設備への投資に見合う増収を図る必要があった」として、過去の経営に問題があったことも明記した。
プラン案では、職員を増やして集中的に医療や看護を提供することで平均入院日数を短くする、との国の方針に従い、2012年度から15年度までに95人増員したことを説明。国の診療報酬にマイナス改定や医師不足による精神病棟の休止なども「経営悪化の背景」として挙げた。一時借入金の15年度末の残高が40億円にのぼることも示した。
さらに、素案では「経営効率化に向けた取り組み」として列挙した「入院件数の増加」や「診療報酬アップにつながる国の評価ランクの引き上げ」などについて、評価委員会からは具体性に欠けるとの意見が出たことを踏まえ、それぞれの取り組みについて責任者や実現に向けたスケジュールを明示したアクションプランをつくる考えも示した。
市は市議会の議論を経て、3月末までに正式なプラントとしたい考えだ。




第61号が函館新聞に紹介される

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函館新聞に掲載された第61号の紹介記事は下記の通り。



函館・道南の医療・介護・福祉の雑誌「メディカルはこだて」の第61号が、このほど発売された。
今号では、同じ気持ちを抱える患者同士やその家族らが集まり情報交換などを行う「患者会」を特集。脳外傷友の会コロポックル道南支部、函館地方腎友会、日本リウマチ友の会北海道支部道南地区、函館がん患者家族会「元気会」、「であい友の会」道南地区連絡会、小全国パーキンソン病友の会北海道支部函館ブロックの6団体を紹介している。
このほか、トピックスリポートとして、新電力に切り替えてコスト削減を目指す函館渡辺病院の取り組み、4月の開設に向けて準備を進める函館市医療・介護連携支援センターなどを紹介。スペシャルリポートとして、全国的にも少ない病理診断外来を国立病院機構函館病院で担当する、木村伯子病理診断科部長を取り上げている(3月14日付の函館新聞より。一部省略)。




第61号が北海道新聞「みなみ風」に紹介される

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北海道新聞「みなみ風」に掲載された第61号の紹介記事は下記の通り。



道南の医療や介護、福祉などの情報を発信する季刊誌「メディカルはこだて」の61号が発刊。
特集は「病気はひとりで悩まないで 患者会活動で明日を生きる」。脳高次脳機能障害やパーキンソン病など六つの患者会を紹介。トピックスリポートは4月に開設する函館市医療・介護連携支援センターなど四つの話題を取り上げている(3月16日付の北海道新聞「みなみ風」より。一部省略)。


晴天の中、寒川集落跡へ

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先週の連休は青空が広がる2日間だった。
20日は函館山の裏にあった「寒川」(集落跡)まで歩いた。
明治17年ころに富山県からの入植者が寒川の歴史の始まりだ。
明治後期には60人ほどが住んでいて、小学校の分校もあった(昭和18年の閉校時に児童数は2人)。
昭和29年9月の洞爺丸台風以降、残っていた数軒も移転を余儀なくされた。

寒川への道はロープが張られている急斜面もあるが、下り始めはアイスバーン状態だった。
最後の急斜面を下ると岩場の海岸と穏やかな海が目の前に広がっている。



当時の集落を思い描くことができるのは、積まれた石垣くらいだろう。



1時間ほど、ぼんやりと海を眺めていた。


「寒川部落 鹿島神社跡」。それと治28年富山県から移住したことを記した石碑が並んでいる。



海岸には漂流物も多い







雨の日の鉄棒のにおい

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北海道新聞みなみ風の「立待岬」。
3月27日掲載のタイトルは、「雨の日の鉄棒のにおい」。



 大正・昭和時代の小説家・劇作家の久米正雄の父親は小学校の校長を務めていたが、学校で起きた火災で明治天皇の御真影を焼いてしまった責任を負って、自らの腹を切って自殺した。久米が数え8歳のときだった。久米は父親の壮絶な死を「父の死」という小説で発表する。小説には描かれていないが、部屋には血のにおいがしたはずだ。
 50代のときに突然、血を吐いた父は病院のベッドの上で2週間、吐血と下血を繰り返し、いつも血のにおいがした。死んだ後も、あの雨の日の鉄棒のようなにおいは、鼻の奥に残ったままだった。
 親の死んだ年齢を越えることはできないと思う人は少なくないようだ。私は越える前に父の夢をよく見た。ある日は廊下に座り、庭を眺めているが、話しかけてもまったく動こうとはしない。別の日の夢は、どこかの家の池の中で裸で座っていた。そこは露天風呂じゃないと言って、手をひっぱろうとするが、体にさわることもできなかった。
 誕生日から数日後、郊外の雪の森を歩いた。シートを敷いて仰向けに寝転ぶと、抜けるような青空がサングラス越しにもまぶしかった。背中は冷たくなってきたが、そのまま木の枝と空を見ていた。目を閉じると、苦しい検査に「死にそうだった」と苦悶する父の顔が浮かんでくる。
 鉄棒のにおいは、森の中で消えた。ようやく父の年齢を超えたのだ。
                                                               (メディカルはこだて発行・編集人)

「メディカルはこだて」の第62号(春号)が発刊

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「メディカルはこだて」の第62号(春号)が発刊しました。



現在、函館市内および近郊の書店で販売中です。

【特集】
後悔しない「終のすみか」の選び方。函館市の高齢者施設「最新事情」

◎要介護(要支援)認定者数は平成29年に2万人超を予測
◎頼りになる「高齢者施設」はどれか。後悔しない選び方を探る
◎特別養護老人ホーム/老人保健施設/介護療養型医療施設
◎有料老人ホーム
◎認知症高齢者グループホーム
◎軽費老人ホーム(ケアハウス)/養護老人ホーム/生活支援ハウス
◎シルバーハウジング/終身建物賃貸借制度を活用した賃貸住宅
◎サービス付き高齢者向け住宅

【ドクター・クローズアップ】糖尿病専門医として週3日函館新都市病院に勤務
高澤宏文(函館新都市病院内科)

【ドクター・クローズアップ】函館五稜郭病院は休診中の脳神経外科の診療を再開
宮野 真(函館五稜郭病院脳神経外科主任医長)

【ドクター・クローズアップ】「痛み外来」では神経ブロックと薬物療法で治療
石田 岳(函館脳神経外科病院麻酔科主任医長)

【ドクター・クローズアップ】抗がん剤治療の専門医として最善の治療を目指す
笹木有佑(函館中央病院腫瘍内科科長)

【ドクター・クローズアップ】病気を見逃さずに診断できる精神科医を目指す
百貫幸代(函館渡辺病院精神神経科医員))

【トピックス・リポート】市立函館病院はI&A(輸血機能評価認定)の認定施設
森田曜江(市立函館病院輸血・細胞治療センター)
佐々木淳(市立函館病院輸血・細胞治療センター)

【トピックス・リポート】心臓リハビリテーションで病気の進行を防ぐ
三木康寛(函館五稜郭病院リハビリテーション科)

【トピックス・リポート】標準制吐療法にオランザピンを加えた試験を開始
坂田幸雄(市立函館病院薬事係長)

【トピックス・リポート】 健康診断の結果は自分の体を知る重要な「成績表」
秋濱寿賀子(北美原クリニック透析センター長)

【ピックアップニュース】頭痛や手足の脱力感、麻痺は「慢性硬膜下血腫」の疑いも。発症までに時間がかかるので、軽い打撲でも注意が必要
佐藤 司(函館脳神経外科七飯クリニック院長)

【スペシャルリポート】函館五稜郭病院は「小児外科」外来を定期的に実施。子供の手術はあらゆる面で大人の常識は通用しない
水野 大(岩手医科大学医学部外科講座准教授・小児外科チーム)

4月から北海道情報大学の客員講師に就任
海老名春代(北海道情報大学医療情報学部医療情報学科客員講師)

医療機関に宿泊して保健・育児指導を受ける産後ケア事業
長舩法子(函館市子ども未来部母子保健課課長)

マイコプラズマ診療に画期的な検査法を研究
小笠原愛美(市立函館病院中央検査部遺伝子細胞生物検査センター)

人間ドックはコンシェルジュが「おもてなし」
中村沙織(国立病院機構函館病院コンシェルジュ)

病室に道南杉やトドマツなど木のぬくもりを
須摩直樹(函館中央病院経営企画課主任)

医療用医薬品が処方箋なしでも購入できる薬局
佐藤州広(かすみ園薬局)

救急病床オープンで3階に救急機能を集約
函館五稜郭病院

「セラピア便り」  扇の要、函館から
平田 聡(特定非営利活動法人理事長)

身近な漢方医学の知識 症状による漢方治療 『疲れやすい』(その1)
久保田達也 (久保田内科医院院長)

お薦めの一冊 「薬に頼らず血圧を下げる方法」
日隠 修 (栄好堂美原店)

痛みとしびれに画期的な治療の「遠絡療法」とは
久米 守(久米整形外科院長)

The 矯正インタビュー Before&After
古田樹己(ふるた矯正歯科院長)

診断・治療に能力を発揮するマイクロスコープ(歯科用顕微鏡)
川瀬 敬(川瀬デンタルクリニック院長)

親水性のインプラントとは
村田真介(吉田歯科口腔外科院長)

5分で分かる歯科の話 〜誤嚥性肺炎と口腔内細菌〜
伊藤正明(函館新都市病院理事・歯科科長)

一般人も「歯が命」の時代へ
向山英明(向山歯科桔梗クリニック院長)

細菌から歯を隔離し、清潔な環境で治療を行うために
鎌田 俊(シュンデンタルクリニック院長)

東洋医学の治療院からーそれぞれのマラソンチャレンジ
益井 基(益井東洋治療院院長)

北斗市久根別に「小規模多機能ホームらしさ」を開設
波並 孝(小規模多機能ホームらしさホーム長)




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